YURA CHARACTER インタビュー04

小さな疑念も見逃さない。過程をたどり膨らむ想像力で貨物は国を超えてゆく。

T.N. 

営業本部 通関課

2018年新卒入社

PROFILE

慣れない現場仕事に自分への自信を無くしかけたのは1年目の現業部配属。ここで努力できることがまだあるはず、とスイッチが入ったのが2年目、通関課へ異動した時だった。狭き門である通関士試験に一発で合格。現在は通関チームの次世代メンバーとして絶賛活躍中。

世界中のモノを「分類する」とはどういうことか。

通関と聞くと、グローバルで華やかな印象を持たれる方もいるでしょうか。実際のところ、少なくとも由良海運の通関では、書類は基本的に英語で記載されていますが難しい単語はありませんし、営業の方たちのように直接お客様とやり取りをすることもありません。地道な仕事だなというのが僕の感触です。

 

ありとあらゆるモノ全てを番号で割り振ったHSコードというものがあります。何かを輸入するときにかかる関税は貨物によってバラバラで、正しい関税を算出するためには、貨物ごとのHSコードを正しく判別しなければなりません。コードや関税が記載された分厚い冊子をめくり、ひたすら算出していくこの仕事は一見作業的に見えますが、頭の中は意外とてんやわんやな状態です。

モノって本当に際限なく存在しているんです。それを分類するとはどういうことなのか。Tシャツひとつとっても綿やアクリル、ポリエステルなど何でできているのかでコードが異なりますし、さらには「異なる色の糸から成るもの」などもっと細かく分類されることもあります。通関の職について初めて、編まれているのか織られているのか、という視点で衣類を見るようになりました。分類するとは、お客様から届く書類を見て、貨物の成分や製法までを想像するということなのです。

想像する先は加工のプロセスまで。

よく遭遇するのは、お客様が準備された書類の原産地が誤っているというケースです。たとえばA国で採掘した原料を、B国で袋に詰め日本に輸出する場合、原産地になるのはA国です。原料を溶かして部品を製造したり、食材から加工食品を作ったり、と一定以上の加工が施されれば加工国が原産地となります。素材から完成品に至るまで、どこからどこまでのプロセスが、原産国と認められる基準となるのか。そこまで把握されているお客様は稀で、誤ったまま書類が送られてくるケースは往々にしてあります。その誤記載を見逃さず正すことができるのが通関士です。このジャッジは物流プロフェッショナルの領域なのです。

 

記載された情報は本当だろうか。この商品はどんな加工プロセスが有り得るだろうか。どの国を経由し、どの程度の加工がなされたのだろうか。書類を眺める僕の頭の中ではそんな想像も駆け巡っています。

輸出入申告の許可を出すのは税関です。HSコードを特定できても、その根拠を説明できなければ申告をクリアすることはできません。だから僕は想像を尽くして正しい情報を追求するのです。「他の業者にはそこまで聞かれなかった」とお客様に驚かれることがありますが、その言葉に僕は少し嬉しくなります。自分の取り組み姿勢が「止めない物流」の一端を担っているのだと、ほんの少し、胸を張れる気がするからです。営業や現業が先陣切ってコントロールするモノの流れを、通関というプロセスで止めない。この気持ちを大切に、これからも精進したいと思います。