YURA'S FIRST STEP 由良海運の登竜門




当社では、入社1年目は原則現業部への配属となります。船やトラック、貨物などモノの流れをコントロールし、作業スケジュールを立て、荷役作業を行う現場作業員に指示を出すことが現業部職員(以下職員)の主な業務。1年目の配属時には、貨物ごとの注意事項(水濡れNGなど貨物の正しい取り扱い方)を覚えたり貨物数量の確認、トラックの案内や作業員への指示などを行なっていただきます。

ここでは由良埠頭コンテナターミナルという、由良海運の2大最前線でのモノの流れをご紹介します。

 

 

 

-由良埠頭-

当社が得意とするバラ貨物をメインに受け入れる場所が由良埠頭です。現業部職員(以下職員)はここで、船の入港予定に合わせ、船から貨物を下ろす荷役作業のスケジュールを立てます。

 

厄介なのは船が予定通りに来るとは限らない、ということ。出発国での作業が遅れたり、航海中に海流が荒れ遠回りせざるを得ない、などスケジュールは常に変動しています。その間、埠頭の入港予定は続々と埋まり、作業員の人手も取られて行きます。先が読めない状況下でも職員は自分の経験値を糧に、前後に入港する船や作業員の動きをコントロールし、遅れた船を受け入れる時間や人員を確保します。こうしてスムーズな物流の最前線を作り上げているのです。

由良埠頭の案内人

K.N.|現業部|2016年入社

 

船や重機といった大きな乗り物が昔から好きだった。前職はカーディーラーだったが、スケールの大きな仕事に携わってみたい、と物流業界へ飛び込む。現業部を志望したのは船や重機の近くで働きたかったから。1年目に由良埠頭の配属となり、途中営業(輸出・国内物流)へのジョブローテーションも経て再び現業部に戻ってきた。
由良埠頭で毎日動き回っているおかげか、健康診断の数値が目に見えて改善されているそう。

①営業から案件情報が届く。
船が到着する。

・たとえば5,000トンの珪砂を受け入れる場合。何人の人員で、何日間で荷役作業を完了できるかを算出し、現場のスケジュールを作成します。

 

・岸壁に珪砂を載せた船が到着します。通関による輸入申告が完了していることを確認したら、船から珪砂を降ろす荷下ろしを開始。アンローダが動き出します。

K.N.

「水濡れNGの貨物ゆえに、悪天候で作業が中止。それでも納期は迫っている」なんてヒリヒリするシーンも割とありますね。再開後の作業人員を調整したり、出荷用トラック台数を増やしたり、など打てる策はあります。

雨天時に無理やり作業をすれば貨物の品質にも影響してしまうので、最優先すべきこと(貨物の品質維持)、そのために最大限できることをしっかりご説明することでお客様からの信頼につなげています。

②アンローダからトラックへ貨物を流し込む。

・全長30メートルのアンローダは間近で見ると大迫力。UFOキャッチャーのように船から原料をすくい上げ、下で待機するトラックの荷台に落としていきます。

 

・貨物に異物が紛れ込んでいて作業がストップしたり。かと思えば想定外に早く作業が完了したり。物流最前線の動きは常に流動的です。予想外の動きに対して、進行中+受け入れ予定の案件のスケジュールを常にアップデートすることで滞りのない物流を実現します。

K.N.

アンローダでの荷役作業は何度見ても飽きません。働く中でも好きなシーンTOP3に入ります。実は写真には映っていない部分ですが、アンローダの真ん中あたりには操縦席があるんですよ。操縦しているのも作業員さんですが、めちゃくちゃカッコいい。こんな巨大な機械を操縦できたら気持ち良いだろうなあなんて妄想しながら眺めています。

③貨物を土場に運び、保管する。

・原料を積んだトラックは、そのまま同じ埠頭内にある「土場」という保管場所に原料を運び込みます。

 

・貨物によっては水濡れ厳禁のものや、比重が軽く風で飛びやすいものも。ビニールシートをかけるなど適したケアを行います。

 

・お客様からの依頼に合わせ、土場から必要な分だけ重機ですくってダンプカーに積み、お客様のもとへと出荷します。

K.N.

①の時点で、「今回の貨物は土場何ブロック分に値するのか」を算出しておきます。同じ1tでも比重によって体積が異なるので、読み間違えるとブロックから溢れ出してしまう事態になるので要注意。慣れれば「〇〇土が〇〇t」と聞くだけで大体何ブロックかジャッジできるようになります。

K.N.

煉瓦や自動車の窓ガラス、トイレなどの衛生陶器といった製品になる原料たち。ゴルフ場やビーチバレー大会会場の地面にも使われているようです。足元を見て「これはあの原料?」なんて考え出したら立派な由良メンバーの証ですよ。

-コンテナターミナル-

世界中のあらゆる貨物が出入りする場所がコンテナターミナル。次々届く新しい貨物を倉庫内に保管し、通関手続きが完了するのを待ちます。そしてお客様からの出荷依頼に合わせて倉庫から出荷していきます。

 

当然、倉庫スペースには限りがあります。不必要に面積を取らない積み方の工夫が必要ですし、出荷したい時に出荷しやすいように、貨物の配置やフォークリフトの動線にも思考を巡らせなければなりません。こうして倉庫スペースを最大限活用する方法をプランニングし、作業員に適切な作業指示を出し、この場所を貨物の経由地として最大限機能させることが職員の仕事です。

コンテナターミナルの案内人

K.Y.|現業部|2012年入社

 

入社後、最初に苦労したのは貨物ごとに異なる積み方を覚えること。頭で覚えるだけでなく、実際に貨物を触ったり動かしたりして掴んだ自分の感覚が大いに役立ったそう。

反対に良いギャップだと感じたのは、想像より残業が少なかったということ。物量が多ければ勤務中の忙しさは増すものの、基本的には定時で帰宅することができている。それも自分が現場をしっかり理解し、良いチームワークを組めてこそだ、と今日も丁寧な現場管理に取り組んでいる。

①運ばれてきた貨物を受け入れる。

貨物が出発国を出発し日本に到着するまでの間が作戦を練る時間。貨物の内容と数量、出荷方法の希望(出荷する順番)などの要望を取りまとめておきます。

 

・貨物が港に到着し、船からの荷下ろしが完了したことを確認。営業が手配したトラックがコンテナヤード(荷下ろししたコンテナが一旦保管される場所)に向かい、コンテナターミナルで保管する貨物を受け取ります。

K.Y.

倉庫に保管される貨物は、出荷時期も出荷頻度も注意事項も様々です。たとえば出荷作業が頻繁に発生する貨物を倉庫の奥の方に保管してしまうと、取り出す作業に余計な時間がかかります。一定の作業スペースを確保しなければならない貨物もあります。次々運び込まれる貨物に対し、あらゆる制約を考慮した上でベストな保管場所を考える作業は、まるでパズルのようですね。

②コンテナを開け、貨物を倉庫に運び込む。

・貨物を積んだトラックが到着したら、コンテナを開けます。安全確保の上、貨物に破れや汚れがないか、数量に間違いがないかをチェックします。

 

・「比重が軽い貨物は倒れやすいので2段積みまで」など貨物によって様々な注意事項があります。そこを考慮しながら、安全かつ最大量保管できる場所を決め、作業員に積み方と積む場所を指示します。

K.Y.

コンテナを開けた時、まず詰め込まれた貨物の安全性を確認します。不安定な状態に気が付かずコンテナ内に入り、貨物が落ちてきたとすれば重大な事故に繋がりかねません。現場の危険性に常に目を光らせ、作業員さんたちの安全を守ることも職員の重要な役割です。

K.Y.

貨物は、お客様が自社で消費するもの(原料など)もあれば、BtoC商品などお客様のさらにお客様にお届けする商品もあります。船で運ばれてくる間に貨物のパッケージが汚れてしまうケースが度々ありますが、商品であればパッケージも品質の一つ。お客様の代理人として責任を持ってチェックしています。

③貨物の出荷依頼が入る。貨物をトラックに積み、出荷する。

・お客様のご希望の納期に貨物をお届けします。出荷する際は、グループ会社である由良陸運や他の協力会社のトラックを手配します。もちろん、お客様が手配されたトラックの場合もあります。

 

・1台のトラックで複数のお客様を回ってお届けする場合、現地での取り出しやすさを考慮し、荷台の中のどの場所に配置するかなどを考えます。トラックの最大積載量を超えないように、かつ最大量搭載できるプランを立てます。

K.Y.

お客様や営業からの要望を叶えながらの現場コントロールは大変な面もありますが、その日1日を何事もなく終えられた時には大きな達成感を感じます。「何事も無い」の継続が難しい仕事だからこそ、そう感じるのかもしれません。

-先輩社員に聞きました-

Q.どのように仕事を覚えましたか?

 

K.N.

A.

僕は知識ゼロでの中途入社だったので、早く仕事を覚えたい気持ちが人一倍強かったんですよ。作業員の方に「皆さんの業務を手伝わせていただけませんか」と頼み込み、貨物をパレットの上に高く組んでいく作業や、原料を保護するビニールシートに乗せる重石(コレがすごく重たいのです)を運んだりしました。

通常、職員は指示するだけで、実際にモノを動かして下さるのは作業員の方。でも僕は1回自分でやってみて、それがどれだけ大変で、時間がかかるのか、体力を消耗するのかを知りたかったんです。実際に経験して気づいたことをメモに記録していきました。「この作業はこの動線の方が良いんだよ」というベテラン作業員さんからの一言も、どんどん蓄えていきました。
すると次第に「今日の作業は大分ハードなので休憩取りつつやってくださいね」「この作業で1時間かかりそうなので、先にこっちを片付けましょう」、という「プラスアルファの一言」が言えるようになってきたんです。作業指示の説得力が変わったと自分でもわかりました。作業員の方に「Nさんが担当で良かったよ」と言っていただけた時のことは今でも覚えてます。とても嬉しかったですね。

こうして作業員という現場のプロ目線も大事にしながら、お客様からのスケジュール、営業からの要望も叶えながら案件を円滑に終えることができた時は、職員冥利に尽きますね。

Q.現業部志望なのでずっと現場で働きたいのですが…。

 

K.Y.

A.

その気持ち、わかります。僕は入社してすぐコンテナターミナル配属になりました。それから6年、大分現場にも慣れてきた頃に本社への異動が決まったのです。現業部志望で入社したこともあり、「ついに来たか」というのが正直な感想でした。

結局本社には3年ほど在籍し、営業と通関に携わりました。最初は正直あまり前のめりでは無かった人事異動でしたが、今振り返ると良い経験だったと思います。というのも、営業としてお客様と直接コミュニケーションをとったことで、お客様がどんな時に疑問を感じるのかを実感することができたからです。現業に戻った今、営業と打ち合わせする際に共有する内容にも変化があったと思います。通関を経験したおかげで、お客様に前もって情報提供できたこともありました。

営業や通関の知識を現場に持ち帰りたいと思い、(そしてやっぱり現場が好きだという思いもあり)現業部に戻ってきました。通関や営業の業務にも触れ、自分の視野が広がったことで、あらゆるイレギュラーを予測して立ち回れるようになってきていると思います。

現業部を経験した営業社員もお答えします!

Q.営業や通関志望なので、1年目の現業部配属に不安があります。

 

S.K.

A.

入社後3年間を現業部(由良埠頭)で過ごしました。作業員さんたちにイチから現場のことを教えてもらったのが懐かしいですね。貨物もモノの流れも何もわからない中で飛び込んだ世界だったので、自分にできるのは礼儀正しくいることと大きな声で挨拶することだと思って、真面目に取り組んできたつもりです。

だからか、今でもすごく可愛がってもらっています。休みの日も飲みに行ったりするんですよ。「何か困ったことがあったらいつでも言ってこいよ」と言ってくださるんです。営業としてまだ吸収することで精一杯な自分にとって、とても心強い存在です。

未熟者ながら、僕も3年の間に作業員さんたちと同じ目線を養えたと思っています。現場を知ることが、現業と営業の連携をさらに強固にすると思いますし、それがより良いサービス提供にもつながっていくのだと思います。

 

営業志望の方、通関志望の方、もちろん現業部志望の方も。物流最前線での経験を自分の糧に、一緒に頑張りましょう。